Financial Aid

Financial Aidの概要

 海外大学を目指したいと言うと必ずされる質問は、「お金はどうするの?」ではないでしょうか。それを聞かれるとかなり返答に窮しますが、それはアメリカにいる高校生たちも同じです。例えばハーバードは寮費込みで一年間に約550万円かかるなど、よくアメリカの高等教育価格インフレを起こしていると言われます。
 しかし、アメリカでは給与もインフレを起こしているのでしょうか?実際のところアメリカでも大学の学費を全額払うことの出来る人はごく少数で、残りの大半の人たちはこの、Financial Aidに頼るのです。Financial Aidというのは、直訳すれば経済的援助で、名前のとおり学費の払えない分を補ってくれます。このFinancial Aidというものは家庭の経済状況や生徒の能力に応じて学校より与えられるのですが、留学生(アメリカの市民権を持っていないアメリカ在住の生徒含む)にFinancial Aidを出す学校は限られています。
 Financial Aidを留学生にも出しているのは私立の学校が多いです。州立の学校はその州に住んでいる人たちの税金で賄われているので、同州に住んでいる人に対してはIn-state tuitionといい授業料が安いですが、州外から来る人に対しては(ここに留学生も含まれる)Out-of-state tuition というとても高い値段がつきます。なので、もしアメリカに住んでいる、もしくは物件を持っているのであればその州の州立大学をチェックしてみるのも手です。州によりますが、固定資産税を払っている家やビルなどを持っていれば、In-state tuitionが適用される場合があります。

各大学HPの見方

 各大学について詳しく知る為には各大学のHPを見ることが欠かせません。しかし、アメリカのHPは見せ方が日本のそれと趣が違っており、英語で書かれていることもあわさって最初は困惑するかもしれません。まずはアメリカの大学の構成を把握しましょう。

 この図のように、学部の中に他の組織とは独立してAdmission OfficeとFinancial Aid Officeが存在します。しかし、以下のHarvardのトップページを見てもらえれば分かるように、アメリカのHPは大事なものが視覚的にすぐ目に入るようにつくられており、Admission OfficeやFinancial Aid Officeへのリンクが一回層下の組織であるにも関わらずトップに出てきています。このことが逆にアメリカ大学の構成に不慣れな人にはHPを見ることを難しくしているかもしれません。

 ここから各大学のFinancial Aid OfficeのHPに入っていき情報を得てください。例えば、Cost of Attendanceというところを見てみるとアメリカ大学の学費インフレというのが分かると思います。ここには様々な項目の額が載っていますが、Financial Aidはこの項目全ての合計金額に対して支給されます。

(https://college.harvard.edu/financial-aid/how-aid-works/cost-attendance)

Aid関連の種類

A. Need/Merit-based

 Financial
Aidというのは、家族が払えない授業料の補助をするものですが、その奨学金の額をFinancial Aid Officeが割り出す方法には様々なものがあります。それらを大きく分けると、Need-based, Merit-basedの2つになります。Need-basedは、家族がどれくらい経済的な援助を必要としているかによってその額を決めます。一方Merit-basedは、生徒の能力にどれくらい自分の学校に来て欲しいか値段を付けるものです。Ivy Leagueなど名門と言われる大学はNeed-based aidのみ給付しているところが多く、中堅大学以降は、Merit-based aidも給付している所が増えるようです。

B. Need-blind/aware

 また、奨学金の額の割り出し方についてではなく、Admission Officeが選考するさいに関係する、Need-blindとNeed-awareというものもあります。上記のNeed-basedと間違えないようにしましょう。Need-blindとは、Financial Aid申請の有無など、経済状況に関係なくアドミッションの審査を行うことです。Domesticの場合はすべての学校でその基準が適用されるのですが市民権を持っていないInternationalにも適用する学校は限られてくる為、特別にNeed-blindと呼ばれています。反対に、Need-awareというのは奨学金を必要としているのかを見てから審査を行うものです。留学生に対してもNeed-blindの学校は非常に少ないので、Need-awareの学校にも出願することになるかもしれませんが、この際審査は非常に厳しくなります。Domesticの人たちよりも総合的に一回り優秀でなければ合格するのは難しいと言えるでしょう。

C. Full-need

 さらに学校によってFinancial AidがFull-needかどうかという違いもあります。ここでいうNeedとは経済的な援助が必要な量で、この値は様々な財務関係の書類に基づき大学側が独自に算出します。Financial AidのページにFull-needです、と書かれている場合(後述するAid Offerの内訳を参照してください)、Parental Contribution以外を奨学金、生徒が返済するローンなどで埋め合わせてくれます。Full-needではない場合、これらの項目を合わせても授業料全部にはなりません。その場合は自分でさらにローンを組むなどすることで工面しましょう。

 参考までに、 MITのFinancial Aidのページを見てみましょう。1行目から、Need-blindであること、2行目からNeed-basedの奨学金しか出さないこと、そして3行目からは後述するFull-needであることが読み取れます。

At MIT, we have three guiding principles for undergraduate admissions and financial aid:
•We seek out and admit the most talented and promising students without regard to their family financial circumstances.
•We award undergraduate aid on the basis of financial need only. This means that we don’t offer any merit or athletic scholarships.
•We meet the full need of each undergraduate for all four years.

各大学リサーチ

 これまで述べてきたことからも分かるように、出願する大学を選ぶ際に留学生へのFinancial Aidに対する各大学の態度がとても大切になってきます。このことをまとめて調べることができる本が、毎年更新されているInternational Student Handbook (College Board)です。この参考書は九割統計データで、在校生のうち何パーセントがアメリカ以外から来た人なのかというありがたい情報も載っていますが、なんと2900校以上の大学の「奨学金を申請したInternational Student の人数」、「実際奨学金を貰ったInternational Student の人数」、「International Student の奨学金の平均額」が載っているのです。
 以下にInternational Student 150人以上にFinancial Aidを出す学校を示しますので参考にしてください。次の学校のなかで、さらにfull-need, need blind admissionの学校にはアステリスク*をつけています

•Arizona State University (AZ)
•Barry University (FL)
•Clark Univ. (MA)
•Eastern Michigan Univ. (MI)
•Grinnell College (IA)
•Harding Univ. (AR)
•Harvard (MA) *
•Illinois Inst. of Tech. (IL)
•Liberty Univ. (VA)
•Louisiana State Univ. (LA)
•Macalester College (MN)
•Marquette Univ. (WI)
•MIT (MA)*
•Mount Holyoke College (MA)
•Ohio Wesleyan Univ. (OH)
•Princeton (NJ)*
•Univ. of Bridgeport (CT)
•Univ. of Houston (TX)
•Univ. of Pennsylvania (PA)*
•Univ. of South Florida (FL)

 *がついていない学校はたくさんの人数に出す分、一人あたりの額が学費の半分に満たないところもありますし、またここに載っていなくても、少数の人に限ってほぼ無料になるFinancial Aidを出しているところがあります。これは学校によってすごく変わりますので、上記の本や学校のホームページのFinancial Aidの所を念入りに読みましょう。Financial AidのトップにはFull need, need blind admissionと書いていても、International Studentのページを開くと、奨学金を出していないと書かれているところがあります。

Aid Offerの内訳

 各大学の出すFinancial Aid Offerの内訳の特性も調べなければいけません。後述するFinancial Aidに必要な書類を学校のFinancial Aid Officeに送ると、合格通知とともにFinancial Aid Offerが届くのですが、何校か合格した場合、これら内訳を比べて学校の最終決定をすることもよくあります。

Parental Contribution
 主に親の収入、資産から割り出される「払うことができる」とされる額です。払えない場合はまず学校に相談し、それでもできない場合はローンを組むなどして工面しなければなりません。Harvard, Yale, Princetonなどは世帯収入が$60,000未満の家庭にはこの額を0としています。

Student Contribution
 生徒自身に収入がある場合(例えば起業していたり、アルバイトでかなり稼いでいる場合など)、生徒からも学費を出さなければなりません。また、長い夏休みの間に稼いだバイト代の一部を納めなければいけない学校もあります。その他、Work-studyといプログラムもこれに含まれます。これは学校があっている期間中にキャンパス内で仕事をし、その分の給与を学費に充てるシステムです。

Scholarships, Grants

 Scholarshipの大部分を占めるのは学校から支給されるものでしょう。アメリカで言うScholarshipとGrantはどちらも返済不要のものです(返済しないといけないものは下に書いているLoanです)。ここに各学校のFinancial Aid Officeの特色も出ます。Merit-basedの奨学金がある場合は、学校からの奨学金以外にもDean’s Scholarshipなど、色々な項目で出ていることがあります。その他市民権を持っている場合、収入によってはここにPell Grantという政府からの奨学金が記載されている場合があります(Pell Grant の基準はかなり厳しい)。

Loans
 Financial Aidが支給されて最後に載っているのがLoanです。これは生徒自身が働くようになってから返済して行くものです。この額は小さいに越したことはないですね。

申請方法

 まずどの学校でも共通なのは、Applicationを提出する時にFinancial Aidを申請する旨書かなければならないということです。例えばCommon Applicationには、最初の方にFinancial Aidを申請するかどうかを選択する所があります。ここで、しないとは思いますが、嘘をついてはいけません。確かに合格する可能性は高くなりますが、もし仮に合格した場合にFinancial Aidが必要でも出ませんし、家族の経済的な状況に相当な変化が無い限りは(証明する書類も請求されます) Financial Aidがあとになっておりることはまずないでしょう。そして、虚偽を書いていたということで合格取り消しにもなり兼ねません。
公立(市立、州立)か私立かによって申請方法は変わりますが、提出しなければならない書類は次の章で述べるものの中のいずれか、またはいくつかになるはずです。それは各大学のHPを見なければいけないのですが、留学生に出す奨学金が少ないというマイナス面を見せたくない為か、HPの中でも特に分かりにくいところに必要書類が記載されていることもあります。締め切りの多くは2月頭ですが、各大学オリジナルのものは出願と同時に提出を求めるものもありますので注意してください。

必要書類

A. FAFSA

 こちらは基本的に市民権を持っている場合の適用される書類です(なのでFederalの頭文字Fとついている)。しかし、学校によっては留学生にもこちらの提出を求める大学があります。確定申告に載っている値をドルに直して入れていく、比較的簡単にできる書類です。

B. CSS Profile

 こちらはFAFSAと違い、提出するために費用が必要です。CSS ProfileはSATも作っているCollege Boardが運営しているもので、一校あたり19ドルほどの送付料がかかります。このCSSはFAFSAをさらに細かくした感じで、世帯の収入以外にも、控除分があるか、毎月両親が払っている授業料、もらっている仕送り、ひと月の電気代金や娯楽費まで、色々聞かれます。確定申告、公共料金の請求書、そして家計簿を用意してから挑むのをおすすめします。アメリカの確定申告であれば、どの行をみて書類のどこを埋めればよいのか指定してくれるのですが、日本のものだと一つ一つ考えて行かなければ分かりません。ですが参考画像の通り、CSSのログインしたトップページにあるImportant DownloadsのリストにCustomized Pre-Application Worksheetというものがあります。これは、CSS Profileの一部の項目がもう少し細かく書かれたもので、それらを合計すると本来のCSS Profileでの欄を埋められるという優れものです。PDFファイルなので印刷をし、親御さんと早めから相談していくといいと思います。一番困るのがおそらくAdjusted Gross Incomeという所ですが、これは確定申告では「所得」(収入ではなく)に一番近いようです。筆者が最初に翻訳したものも貼り付けておきますので、誤訳が多いと思いますが、参考にしてみてください。

C. 確定申告

 確定申告を送る為には、直接の送付を求める大学とCollege BoardのIDOCを使うことを求める大学とがあります(詳細は後半に記述します)。送付する際に両親の分と生徒の分(収入がある場合)必要ですが、日本語のままコピーしただけでは不十分です。項目をすべて英訳してから、円のまま記載したものと当日のレートでドルに換算したものを入れておくとFinancial Aid Officeも見やすくなるでしょう。この翻訳の際、英訳用のフォーマットをネットから探して自分で埋めることも可能ですが、翻訳のサムライ(http://www.translators.jp/)という業者に依頼することもおすすめです。Early Action, Early DecisionまたはRolling Admissionで早めにどこか受ける場合、とにかく必要なので前年度の確定申告を提出することになります。Regular Actionで受験する際には、前年度(入学予定の前年の分)の確定申告を直接送る学校と、前述したIDOCというプログラムを使用している所があります。  IDOCの説明に移りましょう。IDOCとはCollege Boardに確定申告他を送って、そこから書類を各学校に転送してもらうサービスで、CSS Profileを使っている学校のみ使っています。CSS Profileを使っているからといって必ずしもIDOCも使っているとは限らないという点に注意してください。各学校のホームページをよく見ましょう。一応、CSS Profileを提出し終わるとIDOCを使用している学校の一覧が出てきますが、それ以外の大学はホームページを慎重に見てみましょう。書類を郵送する送料以外、IDOCを使うために特別な費用を払う必要はありません。ここで、提出期限の時点(毎年多くの学校は3月1日)では日本の確定申告はまだ出ていないという問題が出てきます。なので、おそらく各学校宛にメールなり手紙なりでその旨を説明し、後日出来次第郵送ということになります。

D. 各大学Statement

 各大学のHPを調べていると、出願と同時にInternational Applicantにはその大学オリジナルのStatementの提出を求めるところもあるということに気づくと思います。これは、おそらくNeed-awareの大学がCSSなどの提出前からある程度の審査を進めるために用いているのだと思われます。下にRice Universityの一例を添付しておきますが、Johns Hopkins UniversityやUniversity of Rochesterも同様のものの提出を課しています。これはとても短いものなのですぐに埋めることができるでしょう。筆者はPdfファイル化したものをメールで各大学に提出したのですが、無事受理してもらうことができました。

E. Non-Custodial Parent’s Information

 アメリカの大学は本当に様々な家族の事情に対応しています。こちらは、どなたか親権を持っていない親がいる場合、提出する書類です。親権がなくても、大学の費用は家族がまず負担すべきという考え方のもとです。

F. CSS Business/Farm Supplement

 こちらは名前の通りCSS Profileの一部なのですが、家族が自営業(農家含む)の場合のみ提出します。CSS Profileの方に自営業と書いている場合、必ず提出するようにしましょう。

G. その他

 CSS Profile, FAFSA だけではカバーできない経済的な事情がある場合はきちんとビジネスレターなどの形式にして提出しましょう。あちらは、そういうのも鑑みてFinancial Aidを考えてくれます。例えば、来年から収入がすごく減るような事情が急にでた、大きい出費の予定がある、などです。締め切りに間に合わない時期にそのような事態が起きた場合も、影響がありそうであればちゃんと申請することをお勧めします。

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