アメリカの大学に出願する際に必須になる提出書類に、本項で扱う TE(Teacher Evaluation)と SR(School Report)と言うものがあります。TE/SR は簡単に言えば「教員推薦状」のことで、学校の先生から見たあなたの様子が推薦文章や項目評価によって詳細に記載される文章です。これらはともに、在籍している高校の教員がアメリカの出願先に直接提出します。先生が普段書き慣れている調査書や推薦入試、AO などで使う推薦文とは趣旨の異なったものです。校内外でのあなたの生活からどのような人格が垣間見られるか、なぜあなたが○○大学にふさわしいのか等が教員の視点から語られるため、Admission Officer はこれをもとにあなたが第三者(教員)からみてどのような人間であるかを判定します。
a) 名前や教科などの基本情報
b) 生徒を何年、どのようなコースで教えていたか
c) 他生徒と比べた人物評価(academic achievement, quality of writing, maturity,
leadership
などの項目が、top 1%, 5%, 10%, …という風にそれぞれ評価される)
d) 推薦者のことを思い浮かべたときに最初に頭に浮かぶ言葉
e) 推薦文(No.4-3 で後述)
SR にはさらに
f) 生徒がとっていたコースやそのレベル
g) 成績(Transcript の章を参照。最終的には推薦書の中に証明書が盛り込まれる)
h) 学校紹介 (後述の school profile の項目を参照。)
TE と SR の構成自体はさほど変わらないと前項で述べました。しかし、その中に含まれている「教員推薦文」は、それぞれで書く先生・内容・人数が異なります。細かい違いは以下の通りですが、大まかには TE で教科担当に主にアカデミックな内容を書いてもらい、SR で好きな先生に教科・課外活動・性格など様々なことを書いてもらいます。
書く人:あなたの授業を受け持っている(いた)先生(年数が長いとよい)
書く内容:教科の成績(点数だけではなくて、提出課題がとても優秀だったため授業で紹介した、授業内容を掘り下げて自分でレポートを書いた、など)
授業態度(よく残って質問をする、周りの生徒に教えているなど)
教科に関連する活動(○○オリンピック、大学で研究をしていたなど)
その他(部活動、生徒会の顧問をやっている先生ならばそのことなと)
書く人数:大学によりまちまち(ex. 二人は必須で最大4人まで、など)
書く分量: 一般的には A4 1 ページ〜1 ページ半と言われているが、特に制限はなく多くても少なくてもよい。読み手(Admission Officer)にとって最も効果的な分量を考える必要があり、場合によっては3ページ程になる人もいる。
書く人:学校にいる先生であなたの性格や課外活動といった、学問的側面以外のことを深く知っている先生。必ずしも授業を受け持っている先生でなくてもよい。進路指導担当、部活動の顧問、校長など。
書く内容:アカデミックなこと、課外活動、生活態度など様々。
書く人数:志願者につき一人の先生まで
書く分量:TE 同様
TE や SR は先生自身が Common Application のアカウントを作成して大学に送る必要があります。そのプロセスは以下の通りです。
① 生徒が Common App を登録し、“Education”の欄を一通り埋める。
② 大学を my colleges に追加し、それぞれの大学について Assign Recommenders という項目の invite counselor/teacher から誰にお願いするのかを登録する。登録をしたのみではまだ先生方に通知は行かないので注意。次の assign のステップを忘れないこと
③ 先生のメールアドレスをもらい、それを記入して教師を推薦(assign)する。TE の推薦者は大学毎に選べるが SR の推薦者は全大学で一人しか選べない。
④ 先生はメールを受信し、そのリンクから Common App の推薦者用アカウントを作成する。
⑤ 必要事項を記入する。
⑥ 教師側が提出(submit)する。この時点では大学側まで送られてはいないが、再提出はできない。
⑦ 生徒側が Common App の他の部分と一緒に提出する。この時点で初めて大学側に送られる。
なお、Common App は全て英語であるため、英語が堪能でない先生の場合には Common App からのメールや各項目の記入内容について十分に説明、確認できるようにしておくことが望ましいでしょう。
アメリカの学校では基本的に TE や SR は生徒に見せられることなく、直接大学側に送られます。日本の高校でも基本的にルールは同じで、最終的には先述の通り、先生自身がCommon Application のアカウントを作成して大学に送る必要があります。しかしながら日本では、先生がアメリカに出願するということ、英語で推薦文を書くということに慣れていないため、生徒が彼らに代わって TE や SR の内容(特に推薦文の構成や盛り込む要素)をある程度決められる機会が少なくありません。そこでこの項では、過去の日本からの留学生の意見をもとに、TE/SR の担当先生を決定しお願いしてから、お互い不慣れな中なんとか大学に送付するまでに注意すべきことを記載しておきます。なお、インターナショナルスクールやたくさんの生徒を海外の大学に送り出している場合は、アメリカの高校と同じように先生が TE や SR に関して一切内容を生徒に見せない場合があり、以下の注意事項の一部が参考にならない可能性もあります。
・ 推薦書に書いてもらう内容について自分でもしっかりプランを立てて、先生に提案すれば大きなメリットとなる。特に、海外に向けての推薦状に先生が慣れていない場合は一緒に考えると大きな方向性のずれは生じにくい。
・ 推薦書の最大の役割は自分について「大人、先生の視点」から書いてもらえること。
・ アプリケーション全体を見たときに、まだ書かれていないこと、さらに強く、別の視点から強調したいことを書く。複数箇所で重複してしまってもあまり効果はない。
・ TE は二人以上必須である場合が多く、文系の先生1人、理系の先生1人、とするとバランスがとれる。海外に出願しようとするだけあって英語は得意な人が多く、英語の先生に書いてもらっている出願者も多い。しかし実際には、文系の先生だけ、もしくは理系の先生だけという人もおり、依頼する先生の教科は様々。
・ TE の科目は必ずしも得意科目である必要はない。むしろ、最初は苦手だったが自力で困難を乗り越えて得意になれた、といったエピソードも評価されうる。
・ 担当年数を記入するところもあるので、付き合いは長ければ長い方が良いが、それよりはより内容的に自分のアプリケーションにとってプラスとなるようなことを書いてもらえる先生にお願いするべき。
・「学校長」、「二年以上その学校で勤めている教諭」など、先生に制限が付けられている場合もあるので大学のウェブサイトを見るなどして確認する。
・ ただ単にお願いしますといっただけではうまく行かないことが多い。書く内容をメモとして渡したり、先生と何度か話し合って内容を決めたりすると濃い文章が書ける。
・ early action に申し込むのであれば、夏休み前から考え、2学期の頭にはちゃんと書き始めてもらうとよい(できれば夏休み前に頼む)。2学期は多くの高校の場合、学園祭があったり、中間試験もあったりと先生たちが何かと忙しい。regular action のみの場合も2学期はじめにはお願いしに行った方がいいだろう。
・ 最終的には英語の文章を送るので、英語が得意な教員にお願いする場合でない限り自分で翻訳する、学校のネイティブの先生にチェックをもらうなどする必要がある。また大学によっては日本語の原文や教師のサインを要求してくる場合もあるので要注意。
・ 他の生徒と違ってどのようなところがユニークで優れているのかを書いてもらうとよい。結局はたくさんの Application の中で自分を目立たせなければいけない。
・ どんな賞をもらったかとか大会に出たとかを書くだけでは効果的ではない。Common Application で賞の名前を書ける場所があるし、自分の課外活動にどのくらい時間をかけたかも書ける。先生には background story—つまり、もらった表彰やかけた時間数だけからは見えない出来事を書いてもらうとよい。賞をもらうまでにどのようなことを具体的にしたのか。何かそれを象徴するエピソードがあるとより効果的。
・ エッセイで書きにくいこと(自慢しているように聞こえてしまう事や、良い事をしたのに自分で言うとカッコ悪くなってしまうような事)を入れてもらうとよい。
一本は中 1 の頃から 6 年間の付き合いで、現文と古文をもっていただいていた先生にお願いしました。国語の先生だけあって、骨子のメモと、僕が先生目線で雑に書いてみた原稿を渡しただけで素晴らしい推薦状を書いてくれました。夏休み前からお願いしていたのですが、日本語原稿は二学期が始まる前に完成したので良かったです。内容は 6 年間の付き合いならではの授業や日常生活から見えてくる僕の性格的特長と、僕の国際関係という学問的興味(そこからいろいろあって専門は宇宙政策希望ですが)と原体験との関係を書いていただきました。
もう一本は、こちらもまた 6 年間の付き合いである数学の先生に書いていただきました。僕は数学がとても苦手だったのですが、高校入る段階で mature して数学の楽しさに気づき、それ以降は遊んでばかりで成績も低かった中学とは一転して、分厚い問題集を自主的に全部解いて毎日質問をしに行ったことや、行列に関して自主レポートを提出していたことに関して書いていただきました。中 3 の頃の低かった GPA をカバーするために、学年があがるにつれ勉強に真面目に取り組むようになり GPA もあがった向上心のある生徒だ、というストーリーを強調してもらいました。ハーバードの教授だった柳沢校長も、成績がある時点からあがった生徒はその段階で mature したんだなと評価すると言っていたのである程度の効果はあると思います。
二本とも日本語で書いていただいたので、翻訳はイギリスに7年住んでいたという英語の先生にお願いした後にネイティブチェックをかけました。
・依頼した先生の教科と年数
国語(3年間) 英語(2年間)
・その先生を選んだ理由国語: 課題を多く出してくれていて、かつその課題を一生懸命やっていた先生。また、校内で企画をするときのアドバイスや、サマースクールに参加するときの応募書類添削などもしてもらっていた先生だったので、校外の活動についても書いてくれると思った。後は個人的に人柄が好き、僕のことを好きそう、というのもあった。
英語:海外大学受験の相談に乗ってもらった先生。海外を目指すくらいであれば授業での活躍もそれなりにしているでしょうし、英語は狙い目だと思います。
・推薦文の書いてもらい方
国語:書いてほしいことを箇条書きかつ文章の構成がある程度見えるように書いたメモを渡し説明した。今までのレポートや宿題を再び先生に渡して、より詳細に書いてもらえる努力をした。学業面での成果(校内→校外)⇒性格面での成果(校内→校外)という構成。
英語:同上。授業・クラスでの様子⇒部活と課外活動という構成。
・書いてもらった内容
国語:課題に対して人と違った意見を書き、それを授業の土台として採用してもらったこと。授業で扱った内容に興味を持って校外でもそれを追求しようとしていたこと。課外活動や部活の顧問をやっていたこと、またそれを通して見えた僕の性格・能力。
英語:英語力以上に英語で表現された文章内容自体も高レベルであること。授業においてはteaching assistantのような存在であったこと。
・その他
普段の学校生活を通じてポテンシャルを見せられるのが一番。二人ともfacebookをやっている先生 だったので僕の普段の感じも何となく分かってもらえていたおり好都合だった。また意外と教師は忙しいので、書いてもらっていたつもりがメールに気づいていていなかったなどメールを忘れている可能性があります。定期的に連絡を取りましょう
[TE1]
・先生
英語の先生/英語ディベート部の顧問の先生(自分が入っていた部活)
・先生との関係
中2の時に英語を教わっていた。顧問として3、4年間みてもらっていた
・なぜその先生を選んだか、何を書いてもらったか
まずは自分が帰国子女でないながらも英語を熱心に勉強してきたという点を一番アピールできる先生だと思ったからです。部活の経験を通して、先生は私が英語で苦労するところも、そのためにネイティブの先生のところに行ったり自分で問題集解いたり英検受けたりするところをみているので、その面を書いてもらいやすいと思いました。また、私が部活でやっていた英語パーラメンタリーディベートというのは日本の高校生にはまだあまり浸透していない競技で、当初は渋渋しかやっていなかったんじゃないかと言うほど知られていませんでした。その環境でも大学生の練習会や大会に混じって賞をとったりジャッジをしたり、高校生の間でも広めるために自分の学校で開いた練習会でスピーチしたりジャッジとしても参加したりなど、一番一緒にがんばってきた先生でした。
[TE2]
・先生
現代文の先生
・先生との関係
高1、高2の時に現代文の授業を担当してもらっていた。
・なぜその先生を選んだか、何を書いてもらったか
現代文は正直苦手科目で、長い期間を通して悪戦苦闘しながらだんだんとわかるようになっていった科目でした。ですがだからこそ、困ったときに質問にいっていたその先生がそれを表現してもらうのに最適な先生だと思いました。また、TEを書いた経験のない先生であったため、先入観を持たずに書いてほしいといったことをそのまま書いてもらえるとも思いました。
外部推薦状とは学校の先生以外の人に頼む推薦状のことです。これに重きを置くかもしくはあまり好まないかまで、大学によって本当に異なりますので、各大学のホームページで確認してみましょう。
書き方の基本は teacher evaluationと同じですが、学校の先生に書いてもらう訳ではないのでアカデミックを中心に書く必要がありません。従って、例えば課外活動でのことをより具体的に、より掘り下げて書いてもらうことができます。夏休みに研究室で教授と共同研究をしたのならばその教授に自分がどれだけその分野を熱心に追求していたのか、どのくらいのレベルのことをやっていたのかなどを具体的に書いてもらうことができます。もちろん、研究に限らず他にも幅広く書いてもらえることはありますので、後述の体験談なども参考にしてみてください。
外部推薦状はcommon applicationから提出することができるところとそう出ないところがあります。common application から提出するときは teacher evaluation と同じ要領で推薦状を書いてくれる人を登録してassignします。書いた人の手書きの署名を要求されることも多いので、要求の有無に関わらず推薦者に直筆のサインをもらっておき、それをスキャンをしてアップロードをしてもらうのが良いでしょう。
一方、大学によっては提出をFAXもしくは郵送で要求したり、common applicationでの提出と郵送の両方を勧めたりする場合もあります。例えばハーバード大学はcommon applicationでの提出に加え紙の郵送も勧めています。FAXをするときには誰の何であるか分かるよう、cover sheetを忘れずにつけましょう。
最後にTE/SRからの繰り返しになりますが、推薦者も仕事をしているので忙しいことが多いです。早めにお願いするようにしましょう。
Aさん
書いてくれた人:ディベートのコーチとして学校に来てくれていた人。大会にも一緒に出たことがある。
書いてくれた人との関係:3年くらい知り合っていて、渋渋のディベート部にコーチとして2年くらいきてもらっていた。
なぜその人を選んだか、何を書いてもらったか:ディベートは一番頑張った活動だったのでやっぱりそれがアピールポイントだと思った。先生にはパーラメンタリーディベートの環境の悪さについて書いてもらったのでこっちではバランスをとってディベートの技術面についてと学園祭のとき演劇部とディベート部の忙しさの仲で頑張ったということを書いてもらった。
Bくん
書いてもらった人:僕は英語の国際大会の日本地域大会を運営したことがあったので、その国際大会全体の元締めに書いてもらいました。
なんでその人を選んだか: Harvard, Stanfordの出身で、かつ大会の問題作成にも関わっていて文章力が高いのは自他ともに認めていたから。また、日本地域大会にもその説明会にも足を運んでおり、よくメールのやり取りもしていた。権威があったし信頼もあったというのが一番の理由です。また以前にも他の生徒の推薦文を書いたらしいというのもポイントです。
Transcriptとは学業成績証明書のことで、海外受験においては必ず先生に依頼、若しくは自分で作成し大学に送らなければならないとても重要なものです。Yaleなど全学年の成績を聞いてくるところもありますが、基本的には中学3年から高校3年までのものを用意します。これは必ず英訳したものを送付する必要があり、自分の学校のカリキュラムに関して説明をしなければいけない場合もあります。IBをやっている人は、IB Scoreと学校の内申点を大学に送りましょう。
海外受験において過去の成績は一番といっても過言ではないほど重要です。安定して上位を確保し続けることがベストなのですが、Trend(傾向)も重要視されます。最初が悪かったとしても中学3年から高校3年にかけて「安定的な上昇傾向」が見られれば好評価につながります。その一方で、最初は優秀でも高校3年の時に成績が落ちていると全体平均が良かったとしてもあまりいい印象を与えません。海外進学を決めるのが遅く、それまでの成績が芳しくなかったとしても、挽回する気持ちで成績をあげることに努めることが大切です。また、あまり良い方法とは言えませんが、海外受験には国内受験と異なり成績が最重要視されることを先生方に説明し、考慮してもらうことも可能かもしれません。
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